ぶつぶつ---河内屋の相場独り言---ぶつぶつ

(27)オキアミ


先週は失礼いたしました。
どうにもこうにも睡眠不足で・・・
そのくせ金曜は仕事をサボって遊びにいってるのですが(笑)

「道場」の練習生だけではなく、皆さんも寝る間を惜しんで復習に励んでいらっしゃると思います。
「道場十三期」も二ヶ月を経過し、ノイローゼ気味になっている方も出てきています。
現時点では、入院した方はいらっしゃいませんので、私の教え方も優しくなったということなのでしょう(笑)

個人投資家はいい商売ですよね。
五時間ほどパソコンの前に座ってクリックしたら、サラリーマンの月給以上を得ることができるのですから。
しかし、それは手法(やり方)を確立した人だけに許される行いであり、それまでは、
「勉強・練習・勉強・練習・勉強・・・・」
と寝る間を惜しんで努力する必要があります。

本日は、いい商売である「個人投資家」について考えてみましょう。

・・・

私たち「個人投資家」は何のために存在しているのでしょうか?

結論からお話しを致します。

「個人投資家は損をするため『だけ』に存在している」

・・・・・

特に「先物・オプション」の世界では、
「私たち個人投資家は損をして退場する」
という意味以外の存在価値はありません。

日本では、世界で初めての整った機構による「先物相場」が開設されました。
それが「米相場」ですね。
江戸時代において「米」は「貨幣」と同じ意味を持っていたことはご存知だと思います。
しかし、米をそのまま「着物」「味噌」に換える事は出来ませんでした。
「小判」「金」「銀」「銭」という貨幣があったからです。
藩の従業員である武士は「禄米(給料)」として支給された米を札差に売却することによって「貨幣」を得ることが出来たのですよ。
それは徳川将軍家でも各地の大名家でも同じです。

日本全国の藩から、年貢として集めたが米が大阪堂島(北浜)に集まりました。
年貢として農民から集めた米は「炊いて食べる」以外の用途はありません。
しかし、それを堂島で米商人に売却することによって、初めて「貨幣」に生まれ変わったのですよ。
その貨幣は、参勤交代の費用になり、お城の改修費用になりましたし、徳川将軍家では「大奥」の維持費用にもなりました。

将軍家や大名家にとって唯一の収入であったのが「米(年貢)」です。
しかし、米の価格は毎年の作柄によって大きく上下しました。
豊作(供給過剰)だったら米価は下がりますし、凶作(供給不足)だった米価は上がります。
現在でしたらバイオテクノロジーの発展によって、冷害・水害・旱魃などの影響を受けにくい品種が開発されています。
しかし、江戸時代では毎年毎年、豊作なのか凶作なのか、収穫してみなければわからない状況が続いていました。

さて、皆さんは地元の藩の勘定奉行です。
藩運営に必要な経費は最低でも100億円です。
お殿様は冷害や水害の知識を持っていませんから「毎年110億円くらいの収入があるのが当然」だと考えています。
勘定奉行である皆さんは豊作であろうと凶作であろうと
「米を売って110億円の収入を得る」
というのを至上命題として与えられているのですよ。
それは、
「100億円までは「厳重注意」で済ませてくれるかもしれないが、90億円しか収入がなければ「切腹の上お家断絶」という厳しい沙汰が下される」
という追い詰められた状況だったのですね。
また、その状況は貴方だけではなく隣の藩の勘定奉行も同じです。
全国の藩の勘定奉行が空を見上げてため息を付くという状況だったのです。

さて、その追い詰められた状況において、どこかの藩の勘定奉行が考えたのでしょう。
「米価が上昇して130億円の収入を得たとしても、お殿様から「よくやった」と言われるだけだ」
「しかし、米価が下落して90億しか収入が得られなかったら切腹だ」

「じゃあ、130億円の収入を得るチャンスを放棄してでも100億円は確保したい」

・・・

その要望に応えたのが「(藩から見て)青田売り」「(商人から見て)青田買い」だったのですね。
もう、百姓が田植えをした時点で、
「年貢米を100億で売る」
というトンデモナイ契約を米商人と結んじゃうんです。
本来、藩が得られるべき収入は110億ですが、勘定奉行にとっては10億くらいどうでもいいのですよ。
100億あったら切腹しないで済むのですから。

商人はリスクを取ることになります。
しかし、単年度ではなく長い目で見ると、平均して毎年10億円ずつの収入を得ることが出来ます。
そして、それを「制度」として確立させたのが堂島の「米(先物)相場」だったのですね。

・・・

「収穫期である10月に米一俵を○○円で売る」
という契約を四月・五月・六月にしちゃうのですよ。
今度は青田買いをした米商人が売り方となりました。
そして、問屋や金持ちの個人が買い方となったのですね。

個人は自分が食べるために、米の先物相場に参入したのではありません。
差益を得るため、簡単にいえば「儲けるため」に米相場に参入したのです。

・・・・・・
・・・・・・

さて、「藩」の立場はどうだったでしょうか。
・売り方である
・絶対に100億円以下の収入には出来ない
・「儲けそこなう」のは問題ない
そして、それは「藩」から米を買い取って「米(先物)相場」に参入した大手米商人も同じでした。

では、個人の立場はどうだったのでしょうか。
・買い方である
・100万円までの損失はOK(そもそも金持ちだから)
・5000万円以上、稼がないと満足しない
・参入してくる個人の数が圧倒的に多い

///////////////

さて、ココまでお話をすると、

「個人投資家は損をするため『だけ』に存在している」

ということを理解されてきた方もいらっしゃると思います。

例えば、「藩」であり「大手米商人」。
現在でしたら「生保」であり「機関投資家」。
これらが一番嫌がるのは「リスク」なんですよ。

例えば、「丁半博打」を考えてください。

「外れたら賭け金を没収され、当たったら賭け金が二倍になって戻ってくる」(テラ銭は考えないことにする)

これは「期待値が1」ということで文字通り「博打」であり「藩」にとっても「大手米商人」「生保」「機関投資家」にとっては参加する意義がありません。
しかし、
「外れたら賭け金を没収され、当たったら賭け金が『三倍』になって戻ってくる」
という「投資」があったとしましょう。
「期待値は1.5」となりますので非常に有利な賭けです。
私たち個人投資家でしたら「嫁を質に入れても」参加すべきだと思います。
しかし、「藩」「大手米商人」「生保」「機関投資家」は参加できないのですよ。
だって、勝率が50%ということは、三連敗する確率が12.5%あるからです。
(ここからは「藩」と「大手米商人」を省きますね)

現在の国債利回りが、10年ものでようやく「1%」を超えるという状況において「期待値1.5」は必要ないのですね。
それよりも「10連敗する確率が「0.1%」ある」という方が問題なのです。

「生保」にとって必要なのは。
「「99.5%」の確率で「1.01」になって帰ってくる」
という「投資」なんですよ。
これの「期待値は1.04475」になります。

国債が10年で「+1%チョイ」なんですよ。
この投資話が一年に一回として、10回を複利でまわせば利回りは「+10%」を超えます。
「生保」にとって必要としているのは、

「勝率0.5で期待値1.5」
ではなく
「勝率0.995で期待値1.04475」
なんですよね。
「生保」にとっては、これで十分過ぎるのですよ。

では、「生保」はリスクとリターンをセットにして売りに出します。
売りに出されたモノは、
「勝率0.01で回収は150」
なんてモノです(期待値1.5)
つまり、
「100回に一回しか勝たないが、勝ったときには(100倍ではなく)150倍になって戻ってくる」
というモノです。

そして、それを買うのが個人投資家なんです。
上で個人投資家の参加条件を列挙しました。

・買い方である
・100万円までの損失はOK(そもそも金持ちだから)
・5000万円以上、稼がないと満足しない
・参入してくる個人の数が圧倒的に多い

「100回に一回しか勝たないが、勝ったときには(100倍ではなく)150倍になって戻ってくる」
このような商品は個人投資家の参加条件にピッタリなんですよね(笑)

///////////

東北大震災によって株式市場は大きく下落しましたよね。
多くの個人投資家が数千万~一億円以上の負債を負って退場したと聞いています。
しかし、株式を多く持っている日本生命・第一生命などが倒産したという話しは聞きません。

生命保険会社は社会的意義を考えると潰れてはいけないのですよ。
大儲けはしなくてもいいですから、少しずつ儲け続けていく必要があるのですね。

(株式相場に限定すると)生保の利益の源泉は個人投資家の損失なんです。
個人投資家が損を出して退場することによって、生命保険会社は少しずつ儲けて社会的意義を果たしているのです。

何万匹のオキアミが一頭の鯨の栄養源になっているのと同じですね。
個人投資家が、
「100回に一回しか勝たないが、勝ったときには(100倍ではなく)150倍になって戻ってくる」
というような商品を買うことによって生命保険会社のリスクヘッジを助けなければ、社会が成り立たないのです。
そして、個人投資家はいくらでも存在しています。

相場で、
「自殺をした」
「家を取られた」
「田畑を売った」
という話しはよく聞きますが、それでも相場の世界に参入してくる人は五万といます。
正にオキアミと同じ存在なんですね。

ただし、全てのオキアミが鯨の栄養源になるわけではありません。

楽しく生涯を生き抜いて、老衰によって寿命を終えるオキアミも存在すると思います。
私も皆さんも機関投資家から見ると一匹のオキアミに過ぎません。
しかし、私たちは

「楽しく生涯を生き抜いて老衰によって寿命を終えるオキアミ」

になろうではありませんか!
私たち全員が「鯨のえさ」になる必要はないのですよ。
個人投資家の97%くらいが鯨に食べられてくれたら、残りの3%のオキアミは
「楽しく生涯を生き抜いて老衰によって寿命を終える」
ことが出来るのですね。

ここまでで二つの事がわかったと思います。

○個人投資家はすべからく損失を出して退場するために存在している

○しかし、3%の個人投資家は、楽しく生涯を生き抜いて老衰によって寿命を終える

私たちは、その3%になるために勉強・練習をしているのです。
頑張って勉強・練習をしましょう!!
  1. 2011/06/18(土) 10:41:12|
  2. 相場小話

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